Life is Feudal: Your Own Guide

Life is Feudal の物語(旧版) for Life is Feudal: Your Own

Life is Feudal の物語(旧版)

Overview

世界観が完全に刷新されたので、この記事は意味をもたなくなりました。

第一章:アカエリア帝国史

 九百二十二年、エルグリン帝国は大規模な内乱の最中にあった。農民たちは大津波のごとく暴れ回り、彼らが過ぎ去ったとき、その場所には何一つ残らなかった。怒りの収まらぬ群集は、そのまま宮殿になだれ込み、暴君は海の藻屑と消えた。
 後に秩序を回復し、新たな帝国を打ち建てる者が現れた。それは王に反旗をひるがえした黒剣団の船長、アステリウス・アウリウスである。黒剣団は反乱軍を先導するとともに勇敢に戦い、その頭目、アステリウスには自然と一番多くの名声が集まった。そして、戦争が終わる頃、彼は自分が荒廃した国を思いのままにできる力を得たことに気がついた。
 悠々と大勢の兵士たちを引き連れ、臨時政府の拠点に現れたアステリウスは、そこで部下たちを休ませた。臨時政府は取り急いで会議を始め、数時間後、アステリウスが新たに打ち建てられた帝国の皇帝に選出されたことを発表した。

 アステリウス帝は民衆の暮らしを向上させるために尽力した。彼は数々の法律を制定し、農民たちに惜しみなく土地を与え、政府には多額の費用を公共事業に充てさせた。引っ切りない建設工事によって、すぐに寒村にさえ主要道路が敷かれ、無数の生活道路もそれに交差した。荒廃したエルグリンの土地にはいくつもの図書館が建ち、議事堂が作られ、軍事施設もそびえるようになった。誰がこれ以上の発展を望めるだろうか。このようにしてエルグリン帝国は滅び、一人の英雄が台頭し、アウリウス帝国が歴史に姿を現したのである。
 アウリウス帝国は商業と芸術、さらには科学などにおいて高度な技術を持っていたが、アステリウス帝が農奴たちを解放したことで、その評判はますます高まった。

 いつしか、アウリウス帝国が大陸のけん引役として知られるようになると、アステリウス帝は恒久の平和を願い、その実現に努めた。アステリウス帝は北方の王国、ヨルグリスの王、ラルヴァーに会談を取り付け、堅固な同盟を結ぶことに成功した。二国が数年間良好な関係を保つと、今度はアウリウス帝国の南東に位置し、帝国と国境を重ねるカリスが接触してきた。カリスの皇帝、キアガは同盟への参加を打診し、これが承認されたことで、アウリウス、ヨルグリス、キアガの三国からなるアカエリアという名前の共同体が成立した。
 アカエリアを構成する三つの国家として、北部にはヨルグリス王国、中央にはアウリウス帝国、南東部にはカリス帝国が存在した。
 ヨルグリスの気候はとても寒く、土地柄からか、そこに暮らす人々の気性も吹雪のように荒々しい。彼らは丘陵に居住地を構え、家屋をナラの木で作り、それを何列にもわたる柵のように建ち並ばせる。ずんぐりとした家屋を密集させるのは、彼らが厳しい冬を越してきた知恵と工夫によるものだ。ヨルグリスの兵士たちは分厚い毛皮の防寒着を羽織り、重い鉄の剣と木の盾を戦闘に用いる。彼らは華美な装飾を好まず、代わりに装うのは不屈の精神と頑強な肉体だけだ。
 ヨルグリスの南には商業と科学の国、アウリウス帝国があった。帝国の荘厳な都市は、高度な技術でなめらかかつ均一に加工された石を資材としている。街の工房に取り付けられた機械は立派であり、それに匹敵するものは世界の隅々まで探しても見つからないだろう。アウリウス帝国の兵士は、意匠を凝らした光輝く鋼鉄の鱗鎧と華美な兜を着る。武器には幅広の剣とクロスボウを装備し、その姿は見る者に洗練された印象を与える。
 アウリウス帝国の南東では、半定住型の移動生活を営む、多数の集落から構成された国家、カリス帝国が砂漠を治めていた。彼らが作る日干しれんがの住居は美しく、香辛料と宝石の取引は、砂漠の民に多くの財産をもたらした。カリスの住人を統治するのは、詰め物入りの布鎧を身に着け、つばの大きな日除け帽子を被り、湾曲した剣と鋭い槍を振るう戦士階級の人間たちだ。

 三人の君主たちは各々の国を治めたが、全体におよぶ問題に対しては大評議会を設置した。議員はヨルグリス、アウリウス、カリスからそれぞれ一人ずつ選出され、過半数の同意なく政策を実行させることはなかった。
 評議会はしばしば軽視されたが、徐々に権力の移行が進んだ。十数年後の九百四十四年に、アカエリア帝国の評議会はアステリウス帝を三国の盟主に指名した。しかしながら、盟主の権限は制限を受け、権力の行使には三人の議員たち全員の同意を得る必要があった。九百五十年になった頃、アカエリアの結束と中央集権はさらに広く知れ渡った。

 アカエリアは精強な軍隊を誇ることでも有名だったが、東方のガロニア帝国は共同体の歴史がまだ浅く、十分に地盤を固めていないことと、皇帝には防衛戦争の経験がないことに目を付けていた。エルグリン帝国が健在だったころから、ガロニアの皇帝はその広大な領土を狙い、隙をうかがっていたのである。そして、君主たちの議会が権力に移行したのを見て、ガロニアは突如侵攻を開始した。
 アカエリアの民は幸運に恵まれた。ガロニアの将軍は共同体に対して様々な計略を用い、罠を仕掛け、上回る数の軍勢を差し向けたが、機知に富むアステリウス帝には大した成果を上げられなかったからである。自軍の被害を最小限にとどめたことで、アステリウス帝は自分が考えた出した戦術の有効性を証明した。
 ガロニアは共同体の弱体化を目論み、卑劣な手段を執った。悲しいことに、今までに数々の危機を乗り越えたアステリウス帝は暗殺で命を落し、二十二年間におよぶ、彼の統治は九百六十六年に終わりを迎えた。
 アステリウス帝には双子の息子、ガイウスとアレイウスがいた。ガイウスは武勇に優れ、用兵にも長けていた。アレイウスは大局を読む才能に恵まれていて、父親以上に聡明な戦略家だった。二人には父親の死を嘆く時間さえなく、まだ温かい遺体を埋葬し、進撃を続けるガロニア軍を食い止めるため、馬に鞭を打った。
 ガイウスの指揮とアレイウスの戦略も力およばず、数に劣るアカエリアの兵士たちは、ガロニア軍の猛攻で戦線を後退し、次第に追い詰められていった。アカエリアは窮地に陥ったが、間一髪、双子は東方の王国、ドグリスと相互援助条約を締結した。すぐさまドグリスの軍隊がアカエリアの救援に駆けつけ、ここでようやくガロニアは退けられた。

 戦争が終わった後、皇帝の位を受け継いだのは弟よりも十秒ほど先に生まれた兄、ガイウスであり、弟のアレイウスは宰相に就任した。アカエリア帝国の首都、パリンスで双子の兄弟は互いに助け合い、国力の回復に努めた。
 ほどなくして、ガイウス帝はウェロニカという名前の美しい女性との婚姻を発表し、後に彼女は大陸の歴史上、最も人気のある后妃の一人として知られるようになった。ガイウス帝が外交と外洋の探索に注力した一方、ウェロニカ妃は彼の影から国内をたくみに統治したため、彼女は夫である皇帝よりも優れた支配者だったとささやかれた。評議会とともに、三人はアカエリアの再建に力を尽くした。
 かつて先代皇帝が戦後復興に努めたときとは異なり、今のアカエリアには労働力が大きく不足していた。しかし、帝国に援助の手を差し伸べる国があった。以前にドグリスがアカエリアと締結した条約では、戦後の協力体制についても取り決められていたからだ。ドグリスは評議会に九ある議席の内、三席を譲り受けることを条件に、アカエリア再興の要望に応じた。
 議員たちはドグリスの王を信頼し、アカエリアが直面する数々の重要な問題を任せた。議会はより強い影響力を持つようになり、投票の結果、法律の制定だけでなく、皇帝の権限縮小も行った。議会と皇帝に不和が起きないか懸念されたが、議長を務める宰相のアレイウスが仲介したことで、双方の対立は免れた。

 ガイウス帝自身は戦前の繁栄を取り戻そうとする人々を助け、今も指導者として健在であることを示した。ガイウス帝は再建を奨励する数々の政策を立て、ドグリスからやって来た数千の労働者と建築家たちの協力で、ついに国土は元の姿に引けを取らなくなった。ドグリス出身の協力者たちはアカエリアから故郷に帰り、その後、国境では商取引が営まれるようになった。

 戦前のアカエリアにおける経済格差は広がりすぎていた。復興期間の最中、ガイウス帝は貧困層の税を大幅に減らし、代わりに富裕層に重税を課した。ガイウス帝は周辺の大国と不可侵条約を結びつけ、互いの軍備を縮小させることに成功していた。力を持て余すアカエリアの兵士たちに武器を置かせ、復興作業に従事させることが当時の狙いであった。

 帝国の平和と繁栄が続くと、ガイウス帝の関心は軍事から離れ、自分の労力を科学技術の発展と新天地の発見に費やした。近年の帝国では、西方の海を越えた先に、前人未到の陸地があるという噂がささやかれていた。ガイウス帝はその土地を新世界と呼び、誰よりも思いをはせていたのである。ガイウス帝は新世界の夢想にふけり、調査のために私財を惜しみなく投じた。
 ガイウス帝が軍隊の力を弱めたことに加え、復興の後も引き続き資産家たちに重税を課したことで、議会と貴族は彼に強い不満を抱くようになった。その一方で、庶民はガイウス帝を熱烈に支持したため、彼らは皇帝への反発を取りやめざるをえなかった。
 噂によるとガロニアは三度目の侵攻を企てていたが、ガイウス帝はそれを気に留めず、政務を弟に押し付け、外洋への冒険に乗り出した。この航海は実りを結び、新たに小さな島々が帝国に編入され、九百七十六年には、偵察隊が喜ばしい知らせを伝えてきた。まだ人の手が付けられていない、森に覆われた大きな島の発見についてである。
 ガイウス帝がその報告に興奮したことは言うまでもない。ガイウス帝はすぐさま植民者を募集し、開拓と定住に備え、あふれそうなほどの資材をたくさんの船に載せた。大船団を率い、新天地に向けて出発したガイウス帝の隣には、ウェロニカ妃の姿もあった。島に到着すると、間に合わせの砦からガイウス帝とウェロニカ妃は建設現場を監督した。それから数週間が経ち、町の建設は順調に進みつつあった。
 ガイウス帝が長く王都を離れると、ガロニアは再び侵攻を始めようとした。その報告を受けると、ガイウス帝はかつて自分の父と共に帝国を築き上げ、その名をとどろかせた黒剣団の戦艦に乗り込んだ。新世界に残るウェロニカ妃の守りは精鋭たちからなる白目警護隊に任せ、ガイウス帝は王都パリンスに向けて出発した。

霧中の殺戮(アカディエンス・ダルスの著書より引用)

 暦はユナス。もやが立ち込む早朝の港に、黒剣団の戦艦はいかりを下ろした。港湾は不気味なほど静かで、ガイウス様は戦艦を波止場に留めたまま警戒し、水兵たちにも下船を控えさせた。ガイウス様は毛髪の先まで感覚を研ぎ澄ませ、周辺に人の気配がないか探った。ここは帝国経済の中枢、首都パリンスの商港区であり、早朝といえど、本来は賑やかで活気あふれるはずの場所だ。船の上から、ガイウス様は大きな声で呼びかけたが、港にいるはずの商人や港湾労働者たちの返事は一切なく、自分たちの発する呼吸の音が聞こえるくらい、辺りは沈黙していた。
 ガイウス様は私とビルス氏、さらに船のこぎ手たちに待機を命じ、高級水兵たちと共に戦艦を降りた。ガイウス様は水兵たちを引き連れ、霧の奥へ進んだが、このとき彼らは十分に武装していなかった。歩くたびに、木でできた波止場はぎしぎしときしみ、その音ばかりが静寂に響いた。奇妙なことにふ頭には一隻の船も見当たらず、 水兵たちは一様に震え上がり、ガイウス様に帰船と別の港への出航をお願いした。ガイウス様はそれを聞き入れず、一人で人気のない市場に向かい、誰かいないか大声で呼びかけた。

 ここで彼らは雨具を着た山猫隊と対面した。二十人はいる山猫たちにガイウス様は囲まれ、一番背の高い、のっぽの山猫がガイウス様の襟を左手で乱暴につかみ、右手に持った短剣を喉に突きつけた。水兵たちは離れた場所にいたが、それを見て、背が高く筋骨たくましい禿げ頭の水兵は、とっさに湾曲した長い短剣を鞘から抜き、山猫たちに向かって突撃した。山猫たちはガイウス様に注視し、油断していたため、禿げ頭の水兵はあっさりと一人の山猫の喉を切り裂いた。
 その山猫が床に崩れ落ちると、別の山猫たちは波止場の水兵たちに一斉に飛び掛り、脱穀のようにもみくちゃになった。水兵たちは必死に抵抗したが、敵は彼らよりも強く、次々と積み重なる死体のほとんどが水兵たちで、裏切り者の山猫たちはまれだっだ。
 上陸用舟艇に待機していた水兵たちが叫んだ途端、数人の山猫たちが舟艇に乗り込んで彼らを殺害し、辺りは静かになった。かろうじて一人の新兵が上陸用舟艇から波止場に飛び移り、急いで舟艇と係船柱を繋ぐ綱を短剣で切り始めた。山猫も波止場に飛び移り、短剣で新兵のあごを貫いたが、間に合わず、上陸用舟艇は波止場から離れていった。それを見て、波止場にいた山猫たちは上陸用舟艇を自分たちのために役立てようとした。波止場の山猫たちも上陸用舟艇に飛び移り、舟艇を戦艦に寄せると、私たちの乗る船に登り始めた。
 市場にいたのっぽの山猫は、戦艦の上にいる私たちに見せつけるように、ガイウス様を捕まえたまま波止場にやって来た。

(ガイウスが殺される)

現アカエリアと新アカエリア
(ドグリスが裏切る)

固有名詞一覧

《あ》:アウリウス帝国(Auriun Empire)、アカエリア帝国(Acaelian Empire)、アカディエンス・ダルス(Acadiens Darus)、アステリウス・アウリウス(Asterius Aurius)、アレイウス(Aleius)
《う》:ウェロニカ(Veronica)
《え》:エルグリン帝国(Elgrin Empire)

《か》:ガイウス(Gaius)、カリス(Khalis)、ガロニア帝国(Galonian Empire)
《き》:キアガ(Kiaga)
《こ》:黒剣団(Black Sword)

《し》:白目警護隊(Pewter Guard)

《た》:大評議会(Great Council)
《と》:ドグリス(Dogriss)

《は》:パリンス(Phalince)
《び》:ビルス(Billus)

《や》:山猫隊(The Order of the Lynx)
《ゆ》:ユナス(Junas)
《よ》:ヨルグリス(Jorgrith)

《ら》:ラルヴァー(Ralvar)

まとめと後書き

原文:[link]

発見された大きな島:Your Own版の舞台
既知の大陸:MMO版の舞台

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