Overview
エンジン設計の中でも特に自由度の高いインラインターボ型エンジン。基本の作り方から設計で気を付けるべき点まで解説。基本パーツの機能が知りたい人は Fuel Engines構築 – FTD_JP Wiki[wikiwiki.jp]を見よう。
第1章 エンジンの性能
簡単に言うと小さいエンジンのことである。
同じ出力でも体積が小さいほうが性能が高いと言える。
被弾面積を減らすことができ装甲も小さくできるからだ。
燃費も大事な要素である。
燃料の消費を減らすことによって燃料タンクの数を減らし、
間接的に体積を減らすことにつながるからだ。
配管お化けになって肥大化しないようにうまく燃費を改善する必要がある。
よく使われるエンジンの性能を表す目安としては以下のものがある。
PPF(power per fuel)
1燃料あたりのパワー。いわゆる燃費を表す。エンジン性能画面で見られる。
パワー/1秒あたりの燃料 で求めることもできる。
PPB(power per block)
1体積あたりのパワー。パワー/エンジンの実体積 で求められる。
エンジンの実体積は自分で計る必要がある。
特に小型のビークルでは1ブロックの重みが大きいので重要視される。
PPBB(power per bounding box)
パワー/エンジンを囲む直方体の体積 で求められる。
エンジンの体積を直方体としてみた場合の1体積あたりのパワー。
実際に機体に搭載するときはエンジンスペースが直方体であることが多いのでこの指標が使われることがある。
PPB for 30min.
30分で必要な燃料タンク体積=1秒当たりの燃料×1800秒/1000 で求められるので、
これをエンジン体積に追加して1ブロックあたりのパワーを求めたもの。
あまりメジャーではないがPPBとPPF(燃費)のバランスを比較しやすいので個人的によく使っている。
エンジンには大きく分けてターボ型・スーパーチャージャー型・インジェクター型の3つがある。
インジェクター型は出力重視で燃費軽視。アレンジの余地が少なく完成された型が既にある。
スーパーチャージャー型は低使用率のときの燃費が優秀だが、
低使用率を保つと体積当たりのパワーはどうしても低くなってしまう。
それに対しターボ型は高使用率のときの燃費が優秀で、同じパワーでも少ない体積にまとめやすい。
インラインターボのつなぎ方の自由度が高く、設計によってかなり性能の差が出てくる。
PPF/PPBをより高い水準でまとめたエンジンを作ることが可能だ。
より良いエンジンを作りたい、既存のエンジンをアレンジして自分の機体に組み込みたい人向けにこのガイドは書かれている。
ぜひ既存のものを上回るエンジンを作ってほしい。
エンジン比較表 – OneDrive[1drv.ms]
ダウンロードしたら色々なエンジンの情報を打ち込んで比較してみよう。
自前のエンジンが既存のエンジンと比べてどこが良くどこが悪いのかも調べてみよう。
第2章 エンジンコア
エンジンコア
Fuel Engine Generator→Crank Shaft→(Adapter→)Cylinder→Carburetor
と連なる部分をエンジンコアと呼ぶことにする。
エンジンコアのパーツの配置によってそのエンジンのパワーの上限が決まり、それ以上に上がることはない。
配管
Exhaust/Turbocharger/Inline Turbochargerによって冷却・排気を行う部分を配管と呼ぶことにする。
配管のパーツの配置によって燃費が決まる。また、冷却によるパワー損失量も決まる。
例えばCylinderは底面しかCylinderやAdapterに接続できない。
2-3-1.800型エンジンコア(A)
4つのシリンダーにそれぞれ2個ずつキャブレターを接続し、最大800powerを出す形。
さらにパワーを出したい場合はこのパーツ群を800型エンジンコアの間に交互に挟みこんでいく。
adapterを用いてシリンダー配置をずらしてあるのがミソで、
単体では最大400powerだが重ねた時にキャブレターをシリンダー間でうまく共用できる。
800型エンジンコアをスライスA、このパーツ群をスライスBと呼ぶことにする。
スライスAとスライスBはこれから使うのでプレハブに登録しておくとよい。
スライスBからキャブレターを除いたスライスCも存在する。
より低燃費型エンジンのコアに向く。
3200型エンジンコア(ABA)
横から見るとキャブレターがうまくシリンダーに接続されているのが分かるだろう。
800*2+400+600*2=3200 より、最大3200powerを叩き出す型。
この周りに配管していくことにより5x5x5サイズのエンジンに仕上げることができる。
5200型エンジンコア(BABAB BAB’AB)
この周りに配管を施して5x5x7サイズのエンジンにすることが多い。
実際は熱の偏りをなくすため中央のスライスBを90度回転して設置することもある。
キャブレターが4つ接続されているシリンダーで熱によるパワー損失が大きくなりすぎるのを解消することができる。
配管が難しくなるのを嫌って90度回転しない型を使う場合もあるので両方知っておこう。
このコアを用いたエンジンには5200 Spaghetti engineがある。
[link]
5600型エンジンコア(ABABA ABAB’A)
5200型よりもさらにパワー重視のエンジンコア。
熱の偏りをなくすためABAB’Aの型が使われることもある。
これも5x5x7サイズのエンジン用のコアとなる。
5x5x6型になっているが、Barricade 5600 Engineはこのコアを利用している。
[link]
3000薄型エンジンコア(BABABベース)
5200型の下部1層を削り取ったもの。
3x5x7や3x5x6サイズを作るときに使う型。
ABABAベースの3200薄型も存在するが、配管がうまくいきにくいことが多い。
3000薄型の方がすっきりと分かりやすい配管になり、アレンジも効く。
第3章 配管
TurbochargerとInline Turbochargerの違いは接続方向だけであり、
どちらも排気管に繋ぐことができるし、シリンダーに直に接続することができる。
本ガイドでは排気管に接続した場合をインラインターボ、
シリンダーに接続した場合を直付けターボと呼ぶことにする。
インラインターボに多くの排気を通していくと燃費改善率が上昇していく。
v1.96からインラインターボの燃費改善率が変更された。
v1.96より前は排気5で上限の2.0倍に達していたが、
v1.96以降は排気30で上限の3.93倍に達するようになった。
燃費改善率はキャブレターやインラインターボに表記されるようになった。
また、排気の数え方も変更され、エンジン使用率によって変化するようになった。
1つのシリンダーからの排気数=シリンダーに接続されたキャブレター数×エンジン使用率 となる。
エンジン使用率60%のとき、3つのキャブレターが接続されたシリンダーから排気を取ると3×0.6=1.8の排気が取れる。
もちろんこのときシリンダー2面から排気を取ると3×0.6×2=3.6の排気が取れる。
v1.96より前とは違い、燃費改善率は排気の数に対してほぼ直線的に伸びる。
より多くの排気を最初のインラインターボに流すことが重要になった。
キャブレターに2個以上のターボを接続すると、燃費改善率は乗算される。
例えば排気を30通したインラインターボをキャブレターに2個接続すると、
83PPF*3.93*3.93=1288PPFとなる。
一般にインラインターボは配置に排気管が最低1ブロック必要となる。
インラインターボ→インラインターボを排気管1ブロックで接続できるパターンは限られているので覚えておくとよい。
積極的に使って最小限の体積で燃費を改善していこう。
v1.96以降、排気管とターボの向きの概念がなくなり、
排気は一番近い出口に向かって流れるようになった。
いくつか新しい接続のパターンが生まれたのでよりコンパクトな配管が可能になっている。
一般的なエンジンコアではキャブレターは最大3面しか表面に出ていない。
インラインでTurbochargerを接続すると、接続面を2面分使うことになってしまう。
一方Inline Turbochargerならば1面だけでキャブレターに接続することもできる。
ただし場合によっては他のキャブレターの接続面が1つ減ってしまうことには注意しよう。
できるだけ多くのキャブレターに、できるだけ少ない排気管でインラインターボを設置し、
エンジンの周りを一筆書きでなぞるように排気を集めて回るようにしていこう。
画像のようにエンジンの中心について点対称となるようにインラインターボを配置すると、
配管での干渉が起きにくく、ターボの総数を最大化しやすい。
排気を一本化する上でも有利にはたらく。
立体の点対称は回転しても重ならないので、プレハブが使えないことには注意しよう。
特に5x5x5のエンジンで有効な手法だが、最初に点対称になる形で二基のインラインターボを設置し、
お互いからお互いへ同時に配管を伸ばしていく形で構築するという方法がある。
この方法で作ると排気が循環してしまうが、あとで集合排気に直すことができる。
プレハブを使うと中心軸に対して回転対称な配置が、
Nキーのミラーモードを使うと中心面に対して面対称な配置が可能となる。
v1.96以降ではこちらの方法も手軽で有効なことが多いので試してほしい。
例えば、このようなエンジンがあったとする。
対称配置を利用して形は出来上がったが、
始点付近のターボへの排気の量が十分でない。
そこで、後半のターボへと合流している排気を始点近くへ合流するように変更。
体積の増加なしに、大幅な燃費向上を果たすことができた。
配置の関係で2か所のどちらかにしかインラインターボを接続できないことがある。
そういうときはより多くのシリンダーに接続しているキャブレターに繋ごう。
燃費改善の効果をより多く与えられる。
エンジンコアとターボの個数でほぼ燃費とパワーは決まってしまうが、
意外と侮れないのが熱によるパワー損失である。
シリンダーごとの熱をうまく調整してエンジンを仕上げにかかろう。
エンジンを使用するとそれぞれのシリンダーごとに消費する燃料に比例した熱が発生する。
温度が上がっていくとパワーの損失が生じる。
詳しい式は Engine[fromthedepths.gamepedia.com]を参照すること。
シリンダーは95℃で熱により停止してしまう。
エンジンのパーツには、シリンダーを冷却する能力を持つものがある。
シリンダーの最終的な温度は、発生した熱を冷却能力の総和で割ったものとなる。
ラジエータ以外のパーツは、排気の終端が外に面していないと効率が25%低下する。
エンジンパーツの冷却能力
シリンダー本体:0.4
直付けターボ:2
排気管:4
ラジエータ:2×√ラジエータの数/√シリンダーの数
ラジエータは全体のシリンダーを同時に冷やすことができるが、
ラジエータやシリンダーが多くなるほど1基あたりの冷却能力は下がっていく。
また、1基ごとに少しずつ燃料消費が増える。
例えばPPB(1ブロックあたりのパワー)35のエンジンならば、
1基付けたときに使用率100%でのパワーが35上がるならば付けた方がよい。
パワー上昇が35より小さいならラジエータを付けない方がよい。
このように実際にPPBが上昇するかどうかを見て付けるか付けないか判断しよう。
既にインラインターボに排気が充分集まっており、
シリンダーの熱量も40~50℃以下に抑えられるようであれば、
必ずしもシリンダーの全ての面から排気を回収する必要はない。
インラインターボ型エンジンではたいていの場合、各シリンダーに排気管1本接続されていれば事足りる。
発生する熱は消費する燃料に比例するため、
インラインターボにより消費燃料を減らすことで熱が減少しているからだ。
第4章 実際に設計してみよう
この章では実際にエンジンを制作して、
紹介した技術がどのように生かされているか見ていこう。
実際にブロックを配置しながら見てくれると幸い。
第2章で紹介した3000薄型エンジンコアを用いて3x5x7サイズのエンジンを設計する。
高さ3エンジンは配管が高さ5エンジンに比べ分かりやすくなっている。
v1.96以降、排気管とターボの向きがなくなったので、
Nキーを用いて面対称に配管することも有効になった。
まずは各キャブレターにインラインターボ1基以上、各シリンダーに排気管1本以上、
そして全ての排気管が循環して繋がるように配管を施していく。
第3章で紹介した配置が随所に使われていることが分かるだろうか。
排気の出口がないと排気能力が0として扱われ、
オーバーヒート音がうるさいがこの時点では気にしなくてよい。
循環している排気をある一点で断ち切り、
排気の始点と終点を決めることで一筆書きの排気の流れを作る。
エンジンが動き出し、その能力が見えてくるはずだ。
このときシールドプロジェクタ等を電力消費最大にして作動させておかないと
正しいエンジンの能力が調べられないので注意しよう。
排気の数はエンジン使用率に比例するからだ。
配管を少し変更し、始点のターボに多くの排気が流れ込むようにする。
体積が2ブロック増えたが、パワーが14増加し1秒あたりの燃料消費も2.5減少した。
このクラスのエンジンならPPB(1体積あたりパワー)は40前後なので
パワー14は体積0.3程度に相当する。
30分の使用を想定すると燃料消費1は1800/1000=1.8体積に相当するので、
燃料消費2.5減少は4.5ブロック分の体積の削減に相当する。
計4.8体積の分能力が向上しているので、改良は成功といえよう。
これでひとまずはエンジン完成。
4-1で完成したエンジンにアレンジを加えてみよう。
既存のエンジンを弄ることができるようになれば、
実際に機体に載せるときにも融通が利く。
実は、キャブレターに2個目のターボを接続するのは1個目よりも効果が薄い。
また、v1.96以降はインラインターボの配置自由度が増え、
エンジンの長さを切り詰めることもできるようになった。
上の画像の改良では、
・パワー3減少→体積0.1に相当
・燃料消費0.9増加→体積1.6に相当
エンジン能力は1.7体積分しか減少していないのに対し
実際のエンジン体積を7も削減できているので、改良は成功。
長さが1減ってより使いやすいエンジンになった。
エンジンの中で繰り返し部分を見つけたら、そこをMiddleプレハブとして区切り、
残りもStart、Endとして3種のプレハブとして登録する。
Middleの部分を増やすことによってエンジンを伸ばすことができる。
一般的に、エンジンは伸ばせば伸ばすほど1体積あたりのパワーが向上していく。
また、自分の機体に合わせてエンジンパワーを調整できるのも利点といえる。
[link]
高さ3のエンジン作成例。
4-2で改良したエンジンに比べてさらに1点改良を施してあるが、
ここまで読んできた賢明なエンジニア諸君であればすぐに分かることだろう。
なぜこの改良がなされたのか、時間があれば考えてほしい。